木の塗装はとても複雑です。木の塗装が分かりにくい理由を「木材塗装読本建築知識2002 年8月号」は、①木の種類が多い、②塗装仕上げの種類が多い、③工程数が多い、④塗料の種類が多いなどとしています。
ここでは、塗装の基本的な工程を できるだけ簡単にして説明します。
DIYではこれらの工程をすべておこなう必要はないと思います。
塗装の基本は、サンドペーパーで素地を調整し、塗りと研磨を繰り返す、ということでしょうか。
それぞれの工程は、その結果を見て、1回から数回繰り返して、次の工程に移行します。そして、工程の間に目止めや着色や研磨の工程が入ることになります。
素地調整
#180~#240のサンドペーパーで、繊維方向に均一に研磨します。平面の出ている角材やそれに類したブロックにサンドペーパーをくるんで研磨すると、むらなく研磨できます。
オービタルサンダーなどを使って研磨し、最後の仕上げは人の手で行うことで、手早く行うことができます。
研磨で出た粉は、布できれいにふき取ることによって、塗料が細部にまで入っていきます。
目止め
目止め材(フィラーともいう。砥の粉)を塗って、ウェスですり込み、最後に拭きあげます。道管を埋めて表面を平滑にし、木目を強調することが目的です。
その程度によりクローズポア(導管が完全に埋まってしまうこと)となったり、オープンポア(導管が完全に埋まらないこと)となったりします。着色剤をまぜて、目止め着色とすることもあります。
素地着色
ステイン(木目を残しながら着色する塗料)を塗布します。ステインには染料系と顔料系があり、さらにそれぞれ、水性、アルコール、溶剤(万能)、油性ステインと別れます。
染料系は、顔料の成分が分子状態で溶解しているので、木材への浸透性が優れ、木目を鮮明にする作用が大きく、顔料系は、顔料が粒子状態で分散しているので、浸透性は染料系より劣ります。この中で素地着色に適しているのは、染料系のNGRステインです。DIYの店に置いてあるワシンの水性ポアステインやオイルステインは顔料系です。
捨て塗り
ウレタンやラッカーを5-6%に薄めて塗ることで、素地着色の色押さえ、また、次の塗料の過度な吸い込みを防ぎ、目止めによる道管の強調するために行います。「ウォッシュコート」ともいいます。
下塗り
塗料の過度な吸い込みを防ぎ、密着性を高めため、木材に深く浸透させ、塗装の土台を作る工程で、ウッドシーラーが適しています。サンディングシーラーを塗ってもかまいません。
乾燥後、#320、#400のサンドペーパーで研磨して、ざらつきを取ります。
中塗り
塗膜を厚くし、平滑な塗装面を得るためにサンディングシーラーを塗装します。これにはステアリン酸亜鉛などの研磨剤が配合されて、研磨しやすくなっています。
この中塗りを2-3回繰り返すことで、厚みのある平滑な塗装面が得られます。乾燥後、#320、#400、のサンドペーパーで研磨します。
塗膜着色
色の補正や深みを出すために行い、目的の色にします。
上塗り
光沢の程度をきめて仕上げの塗装を行います。
鏡面仕上げの場合、上塗りの後に磨きの工程を加えます。まず#800~#2000の耐水サンドペーパーで水研ぎを行い、次に柔らかい布や脱脂綿にコンバウンドを塗って磨きます。
0コメント