木軸ペンを作り始めてから、ずっと考えていたことがあります。 それは、このペンの「名前」をどうするか、ということでした。 木を削って、形を整え、磨いていく。そんな仕事を木工旋盤を使って20年近く続けています。 時間の経過とともに気づいたことがあります。木は単なる材料ではないということです。 同じ種類の木であっても、木目も色も一つひとつ違います。育った場所や年月によって表情が違い、削ってみなければ分からない景色が現れることもあります。 色、木目、硬さ、香り、手触り、同じものは一つとしてない。それぞれ個性があり、木そのものが個性を語っているように感じることがあります。 そこで、木について語ること、そして木が語るものに耳を澄ますことを、自分の仕事の中心に置きたいと思うようになりました。 最初に日本を代表する欅で木軸ペンを製作しました。初めて木軸ペンを作るにあたって欅のことを詳しく調べました。そこで出会った言葉が「槻(つき)」でした。 「槻」は、古くから使われてきた日本の木の名前です。 現在では「欅(けやき)」という名前が一般的ですが、古い日本語や古典の世界では、欅を「槻」と呼んでいたことが知られています。 「槻」という一文字には、長い年月の中で日本人がこの木を見つめてきた時間が感じられます。 そして、「槻」に「語」を組み合わせました。 「槻語」。 読みは「つきかたり」です。 「木について語る」という意味だけではありません。 木が持っている表情や歴史を語り、そして、その木から作られたペンを使う人が、自分自身の言葉を書いていく。 そんな二つの意味を込めています。 木は、ペンになるまでにも長い時間を生きています。 山で育ち、伐られ、木材となり、私の手元にやってくる。 そこからさらに、切断し、削り、磨く。 その工程を経て、ようやく一本のペンになります。 けれど、そこで木の時間が終わるわけではありません。 ペンになった木は、今度は使う人の手の中で時間を重ねていきます。 毎日の仕事で使う。 手紙を書く。 何かを考えながらノートに文字を書く。 大切な人への言葉を書く。 そうして使われるうちに、木にはまた新しい艶が生まれ、手に馴染み、持ち主だけの一本になっていく。 私は、そんな木軸ペンを作りたいと思っています。 だから、ただ「木のペンを販売する」というだけではなく、その木がどんな木なのか、どんな歴史を持っているのか、どんな表情を見せてくれるのか。 そうしたことも、一緒に伝えていきたい。 欅、山桜、栗、楓、胡桃、黒檀。 それぞれの木には、それぞれの物語があります。 私は木を削りながら、その物語を少しずつ知っていきたいと思っています。 そして、その木から生まれた一本のペンが、今度は使う人の言葉を残していく。 木の時間と、人の時間。 その二つが一本のペンの中でつながっていく。 それが、私が「槻語(つきかたり)」という名前に込めた思いです。 木は、その色や木目、香りを通して語ります。 私はその声に耳を澄ましながら、一本ずつ木を削っていきます。 そして、そのペンを手にした人が、自分自身の言葉を綴っていく。素敵だなと思います。 槻語 ― つきかたり。 木は語る。
「槻語」(つきかたり)という名前をつけた理由
木のお店 リーベルクラフト
ウッドターニング(木工旋盤)を用い、木が持つ自然の表情や手触りを大切にしながら、自然でシンプル、やさしさに満ち一つひとつ心を込め手作りしています。内容は1木軸筆記具、2木の器、3木の道具・小物、4木のインテリア。 「リーベルクラフト」の名前で、Creemaにお店を出しています。 https://www.creema.jp/creator/3510520 jujuboisjuju@gmail.com
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